クロエになりたい。

redsmoke2006-07-14


日本フィルハーモニー交響楽団第582回定期演奏会
サントリーホール


沼尻竜典(Cond)、東京音楽大学(Chor)


13日(木)、14日(金)、2日連続で聴いてきた。
野平さんの新作「トリプティーク」は、初日はなにがなんだかよくわからないうちに終わってしまって、覚えてることといえば2人のマラカス奏者がそれぞれ小さいのと大きいマラカスを片手ずつ持って演奏してたのが難しそうだなーと思ったことと、2楽章の金管使いが面白いなと思ったことぐらい。
で、今日は席が2階の一番上だったのもあって、この曲のテーマになっている音の「形」や「色」がぼやっとみえてきた感じがした。
一見難解な現代曲だけど、1回で食わず嫌いせず2、3回聴いてみるといろんな発見があるね。


「ダフニス」は事前のマエストロサロンで指揮者の解説を聴き、スコアを見ながらCDを聴いて予習、各場面のト書きや情景をしっかり頭にいれて臨んだのが大正解だった。
演奏されているのがどういうシーンなのかがわかってると、旋律が何のテーマで、そのテーマがどのように変化して登場するのか、そして旋律同士がどのように絡み合うのか、なんかが浮かび上がるように聴こえてきて、そこからまた映像が浮かぶ。


クロエにキスをもらって心も身体もバラ色に染まって背後に花まで飛んじゃうダフニスの姿とか
海賊から逃げようとしたところを捕まって、ごめんなさい、ゆるして、と謝るクロエとか
助けられて海賊のもとから帰ったクロエがキョロキョロとダフニスを探して、それを見つけたダフニスが駆け寄って抱き合う2人とか


ト書き以外の描写はあたしの想像だけど、音楽が確かにそう描いてたからきっとそうだったんだと思う。


原始的なリズムに乗ってのクライマックス。細かい強弱変化による息が詰まるような疾走感と焦燥感に身体が揺さぶられてるみたいになる。
ラヴェルの音楽はまさにExtaseですよ!!!
かなりやばいという噂に心配してた合唱も、さすがの集中力で初日は特にブラヴォーな出来。ヴォカリーズで地味だけど難しいんだよね、合唱。
でも全ての楽器がバーンと鳴ってる中に人間の声が乗っかると、その音楽にさらに念というか、人間の魂みたいなものがこもるの。
そのときにきっと聴衆は音楽との一体感を感じるんだろうなーと思った。


沼尻さんのラヴェルは2回目、かな?前に横浜でラ・ヴァルス聴いたから。
でもすごーくしっくりくるなぁと思う。本人も振ってて楽しそうに見えた。
この1年半ちょっと沼尻さんのコンサートを聴き続けて、ロシアものとフランスもの、あと忘れてならない世紀末ウィーン。
あたしが好きな3ジャンル。今年はそれ以外のものも聴いて、新しい魅力を発見したいと思う今日この頃ナリよ。