吉祥寺から歩いて帰宅途中、家の近くでデカいチワワを足もとにまとわりつかせて呆然としているおじさんに出会った。
お散歩にしては変だなーと思って通り過ぎようと思ったら「どこの家の子かしりませんか?」と話しかけられた。
話を聴くと、この見るからに人の良さそうなおじさんは、道でうろうろしてるデカチワワを保護したものの、首輪もしておらずかれこれ20分も途方に暮れていたらしい。
あたしも、近所に犬を飼ってる家は何軒かあるけどどこもチワワじゃないしなぁと困っていたら、おじさんはどこかペットホテルか動物病院で預かってもらえないか電話してみます、と携帯電話を取り出して電話をかけ始めた。
あたしは自宅のすぐ近くだったので、一旦荷物だけ置いてきます!と走って家に帰って、家族に「迷いチワワがいる!」と報告した。
そしたら、妹が「デカい子でしょ?あそこの家のだよ」と。
「あそこの家」というのは、ちょうどおじさんが立っていた目の前の家で、いつもお酒を飲んでいると噂のアバンギャルドなおっさんの家だった。どのくらいアバンギャルドかというと、家の扉は年中開けっ放しで中の居間が丸見え、数えきれないほどの鳥と魚を飼っていて、たまに気が向くと近所への文句を叫びながら徘徊する癖がある、というぐらい。
慌てて現場へ戻っておじさんに「この家の子だそうです」と伝えると、おじさんはちょっと恥ずかしそうに「えっ」と言った。
それから二人で家の中へ声をかけつつチワワを家の中に追い込んで(扉は開いているので)、扉の中にあった犬用と思われる柵を勝手に閉めていたら、おっさんが「あーそれおれの犬」と言いながら出てきた。えー、それまで散々家の目の前であたしとおじさんが困っていたの聞こえてただろうに・・・と思ったけど、おっさんがフ○チンだったので何も言わず、おじさんとおつかれさまでした、と労いあって別れた。この先チワワが心配だなぁと思いながら家に帰った。