フォレク終了!

これで1週間の怒濤の本番&プローベラッシュが終わった。
今日のフォレクはあたしにとってはほんとに大きな大きな本番でした。
2004年の年末のメサイアから年に数回、毎回欠かさず聴いていた、そしてこれからも聴きに行くであろう大好きな沼尻さん指揮のTMP。その公演に自分が出られるという奇跡のような数日。
本番前はスタンバイ予定時間よりずいぶん早くソデに行って、一番静かでよく音が聞こえるトイレ内で前プロの緻密なブラームスに耳を傾けていました。
ほんとは無責任に客席で聴きたかったのだけど。


そしてフォレクの本番。
今回はオケは室内楽版のヴァイオリンなし(独奏はアリ)で、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ハープ、トランペット、トロンボーン、ホルン、オルガン、ティンパニだけの編成。合唱もソプラノ6、アルト4、テノール4、バス5の全19人編成で、ひとりひとりへの重責がハンパなかったです。
歴戦の錬磨である先輩たちもビビるほどの緊張感のなか、それでも本番は思い切った一番良い演奏ができたのではないかと思っています。
短い曲なので、あっという間に最後の「In Paradisum」になってしまって、最後の"Requiem..."を歌いながら、もう終わってしまうのか、と本気で悲しかった。
もっとこの濃い濃い濃い音楽の中に身を置きたかった。
この瞬間が、いや、この数日が、グルグルと一生続けばいいのにと本気で思った。願った。


こんなにエキサイティングな音楽作りをしたのは初めてかもしれない。
個人的な悔いはある。でもそれ以上のたまらない充実感が残った。



終演後、ソデに戻ってくるあたしたちをスタッフさんや沼尻さんが出迎えてくれた。
あたしが「ありがとうございました」と言うと、沼尻さんは「今年は第九出ないの?」というようなことを話しかけてくださって、あたしはなんだかんだと応えながら握手をしていただいた。正直、あんまり覚えてない。
あとで先輩に「赤ちゃん、こっちが照れるぐらいずーーーーっと沼尻さんのこと見てるんだもん!目がハートだったよ!」と言われた。
あたしの痛いファン歴ももう4年になるんだなぁ。


帰りは先輩たちの終電まで久しぶりのお酒を思いのままに飲んで、ここでも音楽の中で生きている人たちの刺激的な話をたくさん聴いた。


この数日はあまりにも忙しくて、今日がなんの本番なのかもはっきりしないまま家をでるような感じだったから、この楽しさや嬉しさや幸せは、もしかしたら夢なのかもしれないと今ほんとに思う。
でもこんな夢を見られるのもあたしが音楽をやってきたおかげだ。





「夢を追っているなんていいね」
って最近よく言われる。
あたしが追っているのは夢じゃない。薄い薄い何の保証もないただの可能性だけ。
日銭を稼ぎながら、可能性という影も形もないものにしがみつきながら、社会へ参加することを拒んでいるだけ。


でも今日のように、こういう気持ちになることがたまにある。
今、死んでもいいと。
一生生身のSEXができなくてもいいと思うようなecstasyに出会うことが、音楽をやっているとたまにある。
自分が演奏しているときだったり、ある音楽に出会ったときだったり。
それは間違いなくあたしが今生きるための糧となり、あたしに延命処置をほどこす。
だから明日もあたしは音楽をする。たぶん。
これ以上気持ちいいことを知らないから。