今年度(暫定)No.1コンサート!

日本フィルハーモニー管弦楽団 第588回 東京定期演奏会
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル


沼尻竜典(Cond)、児玉麻里(Pf)


サントリーホール改修のため、日フィル東京定期がオペラシティに移って初めての鑑賞。
サントリーより残響が少なく音がダイレクトに耳にくるので、今回の席(下手バルコニー)で大編成のバルトークなど聴くと、良く言えば迫力満点、悪く言えばちょっとうるさく感じた。
メインプロのモーツァルトの編成だと丁度良く、いつもは耳を通り過ぎていってしまうことの多いモーツァルトの音楽がしっかりと芯を持った音で聴こえてきて、とてもかっこよくて新鮮だった。


一見バラバラに見える曲目だけど、通して聴いてみるとこれが実にまとまったストーリーを持ったように聴こえた。
同行のリエさん、わきこともプログラムの妙だね〜!と感動。
シェーンベルクのピアノコンチェルトを独奏した児玉麻里さんは迷いのないタッチでオーケストラをぐいぐいひっぱり、圧倒的な貫禄。
特に音量が大きいわけではないのにスパーンと飛んでくるような音で、オケにちっとも埋もれないのがすごい。
そして曲がかっこいいのだー


バルトークの「中国の不思議な役人」は、ストラヴィンスキーバレエ音楽にも似た、野性的で艶っぽい曲。
少女が悪党3人組に強要され、強盗のターゲットとなる通行人を誘惑する、というお話なんだけど、少女が誘惑するシーンのクラリネットソロがエロい!そのメロディがオーボエコーラングレファゴット等に承け継がれるところがなんともいえず色っぽくて好き。
そして3人目のターゲットとなる「中国の不思議な役人(宦官)」の前で少女が踊り、追い回されるうちにどんどん音楽が激しく野性的に切迫していき、役人が少女を捕まえたところで組曲版は終わる、その瞬間の高揚感ったら!
もー終わった瞬間ドキドキが止まらなくて、この感覚をもったまま今すぐ帰りたいって本気で思ったくらい。


そんな感じでバルトークが素晴らしかったので、休憩空けてのモーツァルトで冷めちゃったらやだなぁとちょっと心配だったのだけど、「ジュピターってこんなかっこいい曲だったっけ?」と思うほど最後のフーガまで駆け抜ける勢いで大満足な演奏だった。


しばらくぶりに大満足!と実感できた演奏会で、ほんとに幸せ気分で新宿まで歩いて帰った。
ほーんとこういう集中した音楽を聴かせていただけると、音楽って本当にいいものですね、と水野晴雄ばりに思えるので嬉しいです。